『太陽光利用型』植物工場

『太陽光利用型』植物工場

2014年5月30日

前回は『完全制御型』植物工場を主体に説明をしましたが、今回は野菜などの農産物輸出額が世界第2位のオランダで普及・発展している『太陽光利用型』植物工場について紹介します。この『太陽光利用型』植物工場は、従来からある温室利用の施設園芸を設備的に高度化して、施設内の温度、湿度、光、炭酸ガス、養液などの環境条件をコンピュータ制御するものです。(この紹介記事は農林水産省、(株)農林中金総合研究所、(株)矢野経済研究所のWebサイトに掲載された記事と写真を引用しています。)

最初にオランダの植物工場の状況について紹介します。オランダの2012年の農産物輸出額は754億ユーロ(1ユーロ120円換算で約9兆円)、これに対して日本は4497億円でした。オランダは、『太陽光利用型』植物工場を主体に大規模化かつ高度化した集約型農業がおこなわれ、野菜の生産が大きな輸出産業になっています。工場における生産品種はトマト、パプリカ、キュウリ、なす、ズッキーニ、イチゴなどの品種が大半で、単位面積当たりの収量は世界最高水準に達しています。同国の植物工場は近年になって大規模化が一層進み、1工場あたりの面積が10ha以上のものも一般化してきており、最近では100haといった大規模工場も建設されています。また、工場の設備面の高度化も進んでおり、環境制御システムの導入により、栽培環境管理、生産管理、エネルギー管理、労務管理など、周年を通して計画生産が発展してきています。工場では、ガスエンジンで発電し、電気、熱、炭酸ガスの有効利用を行う総合的なエネルギーシステムの導入が盛んです。

日本の場合は、『太陽光利用型』植物工場は少数で、普及はこれからというところでしょうか。強い競争力のある農業を目指して農地法などの関係法令の改正を経て、普及が始まるのではないでしょうか。以下に、農林水産省のWebサイトに記載されている『太陽光利用型』植物工場の事例を引用して紹介します。

写真は長野県小諸市にある「いちご平ファーム」です。平成20年に農事組合法人布引施設園芸組合によって新設されました。

植物工場内は、暖房・保温装置、自動給排水、変温装置などの各種装備を備え、コンピュータによる環境制御を行っています。工場内の照明、温度、養液、炭酸ガスなどを管理する機器はネットワーク化され、コンピュータや携帯端末でどこからでも遠隔操作ができます。環境制御システムによって、照明と加温をコントロールすることで、それぞれの棟ごとのイチゴの花芽をつけるタイミングや開花時期を調整し、クリスマスやお正月、雛祭りやこどもの日など、需要の多い時期に合わせて計画生産が可能になっています。

栽培方式は高設ベンチを使用した養液栽培です。土の代わりにロックウールという培地にイチゴを定植させ、養液を自動給液します。スタッフが工場内に入るときは、『完全制御型』植物工場と同じようにエアシャワーを浴びて衛生管理に気を使っていますが、完全閉鎖型の施設ではないので、虫の侵入を完全に防ぐことはできないとのこと。しかし、農薬は使いたくないので、葉ダニを食べるダニなどの益虫を工場内に放し飼いにし、病害虫を防いでいるそうです。

「章姫(あきひめ)」「紅ほっぺ」を中心に4種類のイチゴ7万本を栽培しており、糖度は平均15度とかなり甘いそうです。

日本の農業は、オランダの例を見れば、大規模な『太陽光利用型』植物工場を普及させることにより、一部の野菜について競争力を相当高いレベルに強化することができるのではないでしょうか。その為には、支援する法の整備などもポイントになると思われます。

以上

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