3Dプリンターがモノづくりを変える

3Dプリンターという言葉を最近よく耳にするようになりました。最近では日本の精密大手企業も3Dプリンター事業参入を表明しましたが、ここ数年で世界で急速に普及し始めています。経済産業省ものづくり白書、日本経済新聞社、米ストラタシス社の公表記事・写真などを引用して、3Dプリンターの状況を紹介します。

3Dプリンターの基本的な仕組みは、コンピュータ上で作った3D(3次元)データを設計図として、断面形状を積層していくことで立体物を作成するもので、プラスチック、金属粉などの材料を一層ごとに連続して積層して立体物を造形します。正式にはアディティブ・マニュファクチャリング(Additive Manufacturing:AM)技術といいます。

その造形方法には幾つかの種類があり、例えば、ABS樹脂をノズルから射出して積層するもの、紫外線を使って槽の中にある液体樹脂を固めていくもの、金属粉に電子ビームやレーザーを照射して造形するもの等があります。用途に応じて、造形材料の種類も増加してきています。

【光造形法】紫外線を照射することで硬化する液体樹脂を用います。紫外線の照射によりラジカル重合、又はカチオン重合する樹脂を用い、絞った紫外線レーザービームで樹脂を選択的に硬化させて立体物を造形する方法です。

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【粉末法】素材粉末を層状に敷き詰め、高出力のレーザービームなどで直接焼結(粉末焼結式積層法)したり、インクジェット方式でバインダを添加して固める(粉末固着式積層法)などして造形を行う方法です。前者では、ナイロンなどの樹脂系材料、青銅、鋼、ニッケル、チタンなどの金属材料などが利用できます。後者では、スターチ(でんぷん)、石膏などの材料が利用できます。

【熱溶解積層法】熱可塑性樹脂を高温で溶かし積層させることで立体形状を作成する方法です。ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂など熱可塑性の様々なエンジニアリングプラスチックが使用できます。

【シート積層法】シートを積層させ、形状をつくる方法です。

【インクジェット法】液化した材料またはバインダを噴射して積層させ、形状をつくる方法です。インクジェットプリンタの原理を応用しています。インクジェットプリンタのカラーインクを使用して、カラー造形物も作成されています。 

 

3Dプリンターのメーカーは、世界的にみると、アメリカの3Dシステムズ社とストラタシス社が有 名で、両社で業界シェアの80%以上を占めています。ストラタシス社は、自社が生産する3Dプリンターを使って、世界中の顧客企業から試作品や部品の生産を受託するビジネスも始めています。自社工場に大型の3Dプリンターを90台並べ、自動車のドアの形をした模型、産業機械に組み込む部品、パイプ、マネキン人形の一部など、顧客から依頼された様々なものを生産しています。下の4枚の写真は、ストラタシス社の生産受託工場レッドアイの工場内写真、及び3Dプリンターの各種製品の写真です。

品 

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3Dプリンターの使用用途として、製造分野では、実際に製品をつくる前にそれぞれの部品を、3Dプリンターで出力できるサイズに縮小して造形し、デザインの検証や機能の検証などの試作やモックアップに使うことが多く行われています。建築分野では、建築模型を作成し、コンペやプレゼンテーションに活用しています。医療分野では、コンピュータ断層撮影や核磁気共鳴画像などのデータを元に臓器の手術前検討モデルをつくり、手術のシミュレーションに活用しています。

最近では、3Dプリンターの進化により精度の高い造形が可能になったことから、製品に組み込む複雑な形状の部品を直接製造したり、複雑な形状の金型を直接製造することも行われるようになりました。

米ゼネラル・エレクトリック社は、次世代航空機エンジンの燃料ノズルを3Dプリンターで製造することに決めたとのことです。複雑な形状が作れることで、溶接個所を減らし、耐久性を従来の5倍に高めることができるそうです。

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日本の松浦機械製作所は金型が製作できる3Dプリンターを生産しています。通常、金型は金属の塊を工作機械で削って作ります。この3Dプリンターで金型を作ると、細く複雑な構造をした金型の内部にも、冷却水を流す配管を自由自在に張り巡らせることができます。これにより、高温に溶けた樹脂を流し込む射出成型の際に、金型の冷えにくい部分をなくし成型プロセスをスムーズにできます。これにより、1個の樹脂製品の成型にかかる時間が従来の半分で済み、完成品の変形も少なくなるとのことです。

3Dプリンターは、消費者の個性に合わせた最適なモノづくりも可能にします。医療やヘルスケア、ウエアラブル機器といった分野では、一人ひとりの体格にフィットさせた個別化商品が飛躍的に伸びると予想されます。

クリス・アンダーソン著「MAKERS−21世紀の産業革命が始まる」が世界的にブームを巻き起こしているそうです。同著は「21世紀の製造業は、アイデアとラップトップ(ノートブック)さえあれば誰でもが自宅で始められる」とし、誰もが容易に“ものづくり”に参入し得るとされているとのこと。

3Dプリンターの普及は、世の中のものづくりのシステム、産業構造を変えてしまう可能性を秘めています。

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