ロボットスーツ

ロボットスーツ

2014年6月30日 

thumb_250_ph1[1]ロボットスーツとは、人体に装着される電動アクチュエーターや人工筋肉などの動力を用いた、外骨格型、あるいは衣服型の装置のことで、パワードスーツ、パワーアシストスーツなどと呼称されることもあります。以前からSF映画やアニメなどでは、様々な形態でに登場しています。

このロボットスーツには、身体が不自由な人の動きを助ける「福祉用」、機能の回復を促進する「医療用」、重作業を行う作業者や介護支援者を助ける「作業用」、災害時のがれき撤去などに用いる「災害救助用」、そして重い荷物を背負って動き回ることのできる「軍事用」などがあり、それぞれの分野で開発が進められています。

このなかで、「福祉用」「医療用」「作業用」「災害救助用」などの民生用途については、日本のサイバーダイン株式会社のロボットスーツが世界の中で先行しており、特に「福祉用」「医療用」については実用化段階から普及段階を迎えようとしています。今回は、サイバーダイン社及びNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の公表記事・写真を引用して、サイバーダイン社のロボットスーツの現状を紹介します。

サイバーダイン株式会社は、サイバニクス(脳科学や神経科学、行動科学、ロボット工p130809_p002[1]学、心理学、IT、生理学などの知識を融合した新研究領域)の第一人者である筑波大学大学院の山海嘉之教授が、サイボーグ型ロボットスーツの更なる研究開発及び企業化のために2004年に設立した筑波大学初のベンチャー企業です。山海教授は開発したサイボーグ型ロボットスーツを「HAL(Hybrid Assistive Limb)(ハル)」と名付けています。

【HALの先進テクノロジー】

 @人が身体を動かすとき、まずは脳でその動作を考えることからはじまります。「歩きたい」と考えることで、脳は神経を通して必要な信号を、その動作に必要な筋肉へ送り出します。

r_hal[1]A健常者の身体では、脳から送られた信号を、それぞれの筋肉が受け取ることで、考えた動作に合わせて必要なチカラの分だけ筋肉を動かすことができます。

B脳から神経を通じて筋肉に送られた信号は、非常に微弱な信号『生体電位信号』として、皮膚表面から漏れ出してきます。HALは独自に開発したセンサーを皮膚に貼り付けることにより、その『生体電位信号』を読み取ることができます。その他、様々な情報を組み合わせて、装着者がどのような動作をしたいと考えているのかをHALは認識します。

CHALは認識した動作に合わせて、パワーユニットをコントロールします。それによって装着者の意思に沿った動きをアシストしたり、普段より大きなチカラを出すことが可能になります。HALは『生体電位信号』を検出し、人の思い通りに動作する「サイバニック随意制御システム」と、『生体電位信号』を検出できなくても、人のような動作を実現する「サイバニック自立制御システム」の2つを混在させることで、装着者の動作をアシストします。

D人の身体を動かすメカニズムは、筋肉を動かすだけにとどまりません。脳は、実際に身体がどういう信号でどのように動作したか、確認を行います。HALを用いて“歩く”という動作を適切にアシストしたとき、“歩けた!”という感覚のフィードバックが脳へ送られます。これにより脳は“歩く”ために必要な信号の出し方を少しずつ学習することができるのです。これこそが、例えばHALなしでも歩くことができるための、大事な一歩に繋がっていくのです。

HAL下肢用(福祉用)fukusikankyouhal_image2[1]p130809_p001[1] 立ちたい!歩きたい!という思いに応える自律動作支援ロボットです。日本では2010年から福祉用にレンタルを開始し、現在全国160ほどの施設で約400台が神経系患者の歩行トレーニングなどに利用されています。肘などの動作を支援する単関節用も利用されています。

日本では、医療の現場で使われる医療機器と、老人ホームなどの福祉施設で使われる機器を明確に区別する規定があり、福祉の現場で活用されていても、医療の現場で流通させることはできません。国内でHAL医療用の認可を得るため、新潟大学など3カ所と協力して治験を始めています。

HAL下肢用(医療用)100539331[1] 100539332[1]HALは2013年8月に、欧州における医療機器としての認証を取得しました。世界トップクラスの第三者認証機関であるティフラインランド(本社ドイツ・ケルン)が適合性を認めたもので、ロボット治療機器としては世界で初めてとなります。これによってHAL医療用は、ロボット治療機器として世界で初めてEUにおける流通、販売が可能になりました。

NEDOとドイツ ノルトライン・ヴェストファーレン州は、HAL医療用を医療現場で幅広く活用するための実証試験を2013年10月から開始しました。NEDOのプロジェクトの一環としてHAL医療用をボーフム市内の病院に導入し、現地のニーズに対応するための実証に取り組み、公的保険の適用や欧州地域への普及を目指しています。

img_0[1]HAL作業支援用 HAL作業支援用はまだ研究開発段階にありますが、人の運動機能を補助・増幅・拡張できるため、様々な現場で活用が期待されます。

・フルボディHALは、上肢から下肢まで全身の身体機能を拡張することにより、人力では不可能な重作業を可能にします。

・HAL災害対策用は、特殊な環境下でのレスキュー活動支援のために、チタンと炭素繊維強化プラスチックで構成された強化全02[1]身フレームと放射線遮蔽ジャケットや装着者用冷却装置、バイタルセンシングシステムを装備しています。全天候かつ不整地での活動が可能です。

・HAL腰部負荷軽減用は、重量物を持った時に腰部にかかる負荷を軽減することで、腰痛を引き起こすリスクを減らします。これまでの重作業を楽に行うことができるため、病院・介護施設や作業現場での労働環境改善、労働災害防止への活用が期待されます。

もうすぐ、体の不自由な方がHALを装着して自分で自由に歩き回っている姿など、ロボットスーツが活躍する光景が日常的になるのではないでしょうか。

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