遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成する方式の遺言です。
公正証書遺言は、次の方式に従って作成されます。
①証人2名以上の立会いがある
②遺言者が遺言の内容を公証人に口頭、自書、または手話通訳などによって述べる
③公証人がその内容を筆記したうえ、その筆記した内容を遺言者と証人に読み聞かせる、または閲覧などの方法によって伝える
④遺言者と証人が内容の正確なことを承認したうえで各自署名押印する
⑤公証人が、その遺言証書が①から④の方式に従ったものである旨を付記して、署名押印する
⑥完成した公正証書遺言の原本は公証役場に保管され、遺言者はその原本に基づき作成した正本を持ち帰る。
公証役場は全国の主要都市にあります。公証人は、法務局または地方法務局に所属して、公証役場において関係人の嘱託により公正証書の作成や書類の認証等を行う公務員です。
公正証書による遺言のメリットは、内容的に適正な遺言ができる、遺言意思が確認できるので無効などの主張がされる可能性が少ない、公証人が原本を保管するので、破棄・隠匿される恐れがない、遺言があるかどうかの検索が容易である、家庭裁判所の検認手続が不要である、などです。一方、デメリットとしては、作成するための費用や多少の時間が掛かることです。
実際に遺言を公正証書で作成するに当たっては、事前に公証人に話をして必要事項を相談しておくと共に、次のものを準備する必要があります。
ア.遺言の内容を記載したもの
・必要事項が明確になっていれば、簡単なメモ等でもよい
イ.関係資料
・遺言者の印鑑証明書(発行後3ヵ月以内のもの)と実印
・遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本・除籍謄本等
・相続人以外の人に財産を遺贈する場合は、その人の住民票等
・相続させる不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)と固定資産評価証明書
・預貯金、有価証券等の内容の分かる書類又はメモ
ウ.証人2名
・ただし、未成年者、推定相続人(第1順位にある相続人)、受遺者、推定相続人及び受遺者の配偶者や直系血族などは証人になれません。
・適当な証人がいない方は、公証役場に相談する方法もあります。弊事務所でも証人を承っています。
エ.手数料
・公証人に遺言公正証書の作成にかかる手数料を支払う必要があります。手数料は、遺産の価額、相続人や受遺者の人数など遺言の内容によって異なります。
・例として、遺産の価額が1億円の場合の手数料は、各種加算項目を含まない場合、一人に単独相続で約6万円前後、二人に均等相続で7万円前後、三人に均等相続で10万円前後となります。祭祀主宰者等の指定があると加算があります。手数料がいくらになるかは、公証役場でその額を聞いておくとよいでしょう。
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