貨物自動車運送事業をはじめるには、一般貨物自動車運送事業の許可申請などを行い、許可を事前に取得することが必要です。
また、運送事業開始後も、毎年の事業実績報告および事業報告が必要であり、事業計画に関する変更を行うときには事前の認可申請や変更届出などが必要になります。
弊事務所では貨物自動車運送事業に関する許可申請および事業開始後の諸手続を代行致します。許可申請などをお考えの方は、弊事務所へご相談ください。
貨物自動車運送事業とは、緑(青)ナンバー又は黒ナンバー(軽貨物)を取得し、自ら運送を行う運送事業です。その事業には次の種類があります。
一般貨物自動車運送事業(特別積み合せ無し)
事業用のトラックなどで荷物を運送する事業で、一般的な運送業はこれに該当します。
一般貨物自動車運送事業(特別積み合せ有り)
一般貨物自動車運送事業のうち、不特定多数の荷主から集荷した荷物を各営業拠点等で仕分けし、
荷物を積み合せて他の営業拠点に運送し、配達の仕分けを行う運送業です。
宅配便業者などはこれに該当します。
特定貨物自動車運送事業
特定の荷主の荷物を運送する運送事業です。
貨物軽自動車運送事業
軽トラックや二輪車などで荷物を運送する運送業です。黒ナンバーです。
中部運輸局管内における一般貨物自動車運送事業許可にかかわる許可の要件を、以下に説明します。
1.営業所
(1)使用権 | ①建物について1年以上の使用権原を有すること *自己所有の場合は登記簿謄本にて確認 *借用の場合は賃貸借契約書等により確認 |
(2)立地条件 | ①都市計画法、建築基準法、消防法、農地法等に抵触していないこと *市街化調整区域には営業所は設置できない |
(3)規模 | ①事業の遂行上適切な規模であること *適切な規模とは10㎡以上の専有できる広さをいう *10㎡未満の場合、机、椅子、電話等の営業に必要な設備(計画)を有し、 事業遂行上支障ないものであること |
2.事業用自動車
(1)車輌数 | ①5両以上(トラクタ、トレーラはセットで1両) ②霊柩車、一般廃棄物収集車は1両でもよい |
(2)使用権 | ①使用する権原を有すること *自社保有車両の場合は、自動車車検証にて確認 *購入による場合は、車輌売買仮契約書にて確認 *リース契約の場合は、契約期間が概ね1年以上あるリース契約書にて確認 |
3.車庫
(1)位置 | ①原則として、営業所に併設していること *徒歩で移動できる距離であれば併設とみなす ②併設できない場合、営業所から直線距離で10km以内(中部運輸局管内) |
(2)立地条件 | ①出入口の前面道路の幅員が車輌制限令に適合し、交通安全上支障がないこと ②都市計画法、農地法等に違反していないこと *車庫は市街化調整区域でも可能であるが、農地の場合は不可 |
(3)収容能力 | ①計画する自動車のすべてを容易に収容できること *車輌相互間の間隔、境界との間隔が50cm以上確保されていること ②他の用途に使用される部分と明確に区分されていること |
(4)使用権 | ①土地について1年以上の使用権原を有すること *自己所有の場合は、登記簿謄本により確認 *借用の場合は、契約期間が概ね1年以上の賃貸借契約書にて確認 |
4.休憩・睡眠施設
(1)位置 | ①原則として、営業所又は自動車車庫に併設していること *徒歩で移動できる距離であれば併設とみなす |
(2)規模 | ①乗務員が常時有効に利用することができること *睡眠を与える必要がある場合は、1人当たり2.5㎡以上の広さ *睡眠をとる必要のない勤務形態であれば、休憩所だけでよい |
(3)使用権 | ①建物について1年以上の使用権原を有すること *自己所有の場合は、登記簿謄本にて確認 *借用の場合は、契約期間が概ね1年以上の賃貸借契約書にて確認 |
(4)立地条件 | ①都市計画法、建築基準法、消防法、農地法等に抵触していないこと
|
5.管理体制
(1)運転者 | ①事業を始めるのに必要な運転者数(最低5名)を確保すること *運転者は常用雇用であること *日々雇い入れられる者、試用期間の者、アルバイト等は不可 |
(2)運行管理者 | ①資格を有する常勤の運行管理者を確保すること *運行管理資格者証を有する者 *車輌29両まで1名必要 |
(3)運行管理体制 | ①運行管理の指揮命令系統が明確であること ②勤務割及び常務割の計画が規定に適合していること ③車庫が営業所に併設できない場合、点呼等が確実に実施できる体制であること *対面での点呼が必要 ④事故防止についての教育及び指導体制、事故処理の責任体制等が整備されていること
|
(4)危険物取扱等の | ①石油類、高圧ガス、毒物、劇物等危険物の輸送を行う場合は、消防法等関係法令に規定する危険物取扱者等の有資格者を確保すること |
(5)整備管理者 | ①資格を有する常勤の整備管理者を確保すること *自動車整備士3級以上、整備の実務経験2年以上+研修修了者、等 |
6.資金計画
(1)自己資金 | ①下記により算定した所要資金以上の額であること ②自己資金は、原則として、全額を預貯金で準備する | |
事業開始に要する資金の見積の範囲 | < 費 用> | < 内 容> |
人件費 | 役員報酬を含む2ヶ月分 | |
燃料油脂費 及び修繕費 | 燃料油脂費及び修繕費のそれぞれ2ヶ月分 | |
車両費 | 取得価格 (分割の場合は頭金及び6ヶ月分の割賦金) 又は6ヶ月分の借料 | |
建物費 | 取得価格 (分割の場合は頭金及び6ヶ月分の割賦金) 又は6ヶ月分の借料及び敷金等 | |
土地費 | 取得価格 (分割の場合は頭金及び6ヶ月分の割賦金) 又は6ヶ月分の借料 | |
器具、工具、什器、備品等 | 取得価格 (割賦未払金を含む。) | |
保険料 | 自賠責保険料、任意保険料、及び危険物を取り扱う運送の場合は、当該危険物に対応する賠償責任保険料のそれぞれ1ヶ年分 | |
各種税 | 自動車税及び自動車重量税のそれぞれ1ヶ年分、自動車取得税及び登録免許税等 | |
その他 | 道路使用料、光熱水料、通信費、広告宣伝費等の2ヶ月分 |
(2)資金調達 | ①所要資金の見積りが適切であり、調達について充分な裏付けがあること ②自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること *申請時と途中に1回の計2回、残高証明書によって確認する |
7.法令遵守
遵守事項 | ①申請者又はその法人の役員は、法令知識を有し、法令を遵守すること *個人事業主又は専従役員1名が法令試験に合格すること ②社会保険等加入義務者が社会保険等に加入すること ③欠格事由に該当しないこと |
8.貨物利用運送 (受託した貨物運送の一部を他の貨物運送事業者に委託(外注)する場合)
(1)営業所の使用権 | ①建物について1年以上の使用権原を有すること *自己所有の場合は、登記簿謄本により確認 *借用の場合は、契約期間が概ね1年以上の賃貸借契約書にて確認 |
(2)営業所の立地条件 | ①都市計画法、建築基準法、消防法、農地法等に抵触していないこと *市街化調整区域には営業所は設置できない |
(3)営業所の規模 | ①事業の遂行上適切な規模であること *適切な規模とは10㎡以上の専有できる広さをいう *10㎡未満の場合、机、椅子、電話等の営業に必要な設備(計画)を有し、 事業遂行上支障ないものであること |
(4)業務の範囲 | ①「一般事業」又は「宅配便事業」の別とする
|
(5)保管体制 | ①貨物の保管体制を必要とする場合は、保管施設を保有していること
|
運送業の許可申請を行い、許可がおりても、すぐに事業が開始できるわけではありません。
運行管理者及び整備管理者の選任、事業用自動車の営業ナンバーへの変更、運賃・料金の設定などを行った後に、運輸開始の届けを出し、運送事業を開始することができます。
運輸開始までに必要な概略の手続・手順は以下のとおりです。
一般貨物自動車運送事業経営許可申請 |
↓
法令試験(隔月に実施)(2回不合格になると申請却下) |
↓
許 可 通 知 |
↓
登録免許税(120,000円)納付 |
↓
申請時点で織り込んだ事項の整備・実施 ①事業設備の整備:営業所、車庫、休憩睡眠施設、車輌 ②備え付ける書類等の整備:帳簿・帳票類、掲示物など ③労働基準監督署への届出 ④社会保険、労働保険への加入 ⑤適性診断の受診 、他 |
↓
①運行管理者の選任届出 ②整備管理者の選任届出 |
↓
車輌の登録(営業ナンバー取得)手続 |
↓
運賃及び料金表の設定と届出 |
↓
運 輸 開 始 |
↓
運 輸 開 始 届 出 |
(1)運送事業を始めるに当たり会社を設立する場合は会社設立費用が必要になります。
⇒ 「株式会社設立の手続」 をご参照ください。
※既に会社は設立済で、定款の目的に「貨物自動車運送事業」等の記載がない場合は、定款変更手続が必要です。
(2)事業開始に要する資金として「資金計画」に記載した自己資金が必要です。
(3)行政書士に許可申請手続及び許可後の諸手続を依頼する場合は申請等代行費用が必要です。
(4)登録免許税120,000円
(5)帳票類及び施設整備費用、その他
運送の事業を開始した後も様々な手続が必要です。(以下は一般貨物自動車運送事業の場合)
(1)変更を行う際に必要な手続
■営業所の位置、自動車車庫の位置及び収容能力、休憩・睡眠施設の位置及び収容能力、
特別積合せ貨物運送をするかどうかの別、貨物自動車利用運送事業を行うかどうかの別
を変更しようとするとき ⇒【事業計画変更認可申請】
変更をする前に認可を受ける必要があります。認可申請後、特に問題がない場合で、認可証の交付に1カ月程度かかります。認可証の交付を受けて初めて変更ができます。
■事業用自動車を増車・減車(廃車含む)しようとするとき ⇒【事業計画変更届出】
増車または減車する5日以上前に届出をすることが必要です。この届出により「連絡書」を受け取り、「連絡書」を添付して自動車の名義変更や廃車などの登録手続を行います。
■会社の役員に変更があったとき ⇒【施行規則44条1項の届出】
変更後遅滞なく届出をすることが必要です。
(2)毎年必要な手続
■事業実績報告 ⇒【貨物自動車運送事業実績報告書】
前年度の事業の実績報告を毎年7月10日までに行います。
■事業報告 ⇒【貨物自動車運送事業事業報告書】
前事業年度の事業報告を毎事業年度経過後100日以内に行います。
(3)上記以外に手続が必要となる主な事例
【事業計画変更認可申請】
■運送事業を譲渡し、または譲受けしようとするとき
■相続により運送事業を引き継ごうとするとき
■運送事業を営む法人を合併しようとするとき
■運送約款を変更しようとするとき
【事業計画変更届出】
■営業所の名称等を変更するとき
■運賃、料金を設定または変更しようとするとき
■運行管理者、整備管理者を選任または解任したとき
■事業を休止または廃止したとき
【施行規則44条1項の届出】
■運輸を開始したとき
■譲渡し、譲受け、合併が終了したとき
■休止していた事業を再開したとき
■事業者の氏名、名称、住所に変更があったとき
お知らせ・お役立ち情報
事務所紹介
(準備中)