遺産分割協議とは、相続人全員で、遺産(相続財産)をどのように分けるかを話し合い、個々の遺産について権利者を確定する手続です。
遺産は、被相続人が死亡した段階では、相続人全員の共有財産となりますので、話し合いによって具体的に分割して、相続人それぞれに帰属させることが必要になります。
尚、遺産分割協議が整わない場合は、家庭裁判所に申し立て、遺産分割調停又は遺産分割審判により分割することになります。
<法改正により2019年7月1日施行>
各相続人は、当面の必要生計費や葬式費用に充てる為、遺産に属する預貯金について、各口座ごとに一定割合(払戻しを求める相続人の法定相続分の3分の1)までの預貯金を、家庭裁判所の許可なしに単独で払戻しを求めることができます。ただし、同一の金融機関に対しては150万円を限度とします。
この場合に、払戻しを受けた預貯金は、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなします。
<法改正により2019年7月1日施行>
婚姻期間が20年以上である夫婦の一方配偶者が、他方配偶者に対し、その居住用建物又はその敷地(居住用不動産)を遺言により遺贈又は生前贈与した場合について、持戻し免除の意思表示があったものと推定することになりました。
遺産分割においては、原則として当該居住用不動産の価額は遺産の対象に含めることなく遺産分割の計算をすることができます。
これにより、配偶者により多くの財産を取得させることが可能になりました。
遺産分割協議が成立すると、それに基づいて遺産分割協議書を作成します。
相続人が不動産の所有権移転登記や自動車の所有者名義変更の手続きを行う場合、預貯金の口座解約の手続きを行う場合などには、その内容が記載された遺産分割協議書が必要です。手続きを行う関係機関によっては、その機関特有のフォーマットによる遺産分割協議書を要求される場合もありますので、あらかじめ関係機関や銀行などに確認し、必要があれば、遺産分割協議書への押印と同時に、専用の書類への押印も済ませておくとよいでしょう。
遺産分割協議書には、決まった書き方はありませんが、次の事項は必須です。
① 遺産の承継内容の明示
相続人個々人の具体的な遺産の承継内容を記載します。
遺産が不動産の場合、住所ではなく、登記事項証明書(登記簿)どおりの記載をします。
預貯金に関しては、金融機関の名前だけでなく、支店名、口座番号まで書きます。
② 相続人(=法定相続人)全員の参加
相続人全員が協議に参加するか、または 協議内容について承諾することが必要です。
相続人は、戸籍調査により全員を間違いのないよう確定します。
③ 相続人全員の署名・押印および印鑑証明書の添付
協議した内容について全員が承諾した旨を示すため、法定相続人全員の署名・押印が必要です。
押印は実印を使用します。
相続人の住所は、住民票や印鑑証明書に記載されているとおりに記載します。
実印の使用と共に、全員の印鑑証明書を添付します。
④ 契印
遺産分割協議書の用紙が複数枚になる場合は、用紙の継ぎ目に法定相続人全員の実印による契印を行います。
⑤ その他(参考)
現在判明していない遺産が今後発見された場合について、誰にどのように配分するかを決めておくと、後日のために役立ちます。
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