成年後見人は、財産管理と同様に、本人の生活の維持や医療および介護など、身上の保護に関する法律行為を職務として行います。成年後見人が行うのはあくまで法律行為であり、本人を実際に介護することや医療施設への送り迎えをするなどの事実行為は行いません。
身上監護の職務には、次のようなものがあります。
①医療に関する事項
・病院の受診、医療、入退院等に関する契約、費用支払い
②生活確保に関する事項
・本人の居住の確保に関する契約、費用支払い
・本人の居住を決定するための情報収集ならびに本人の意思確認
・本人の居住の維持、快適な住環境保持のための状況確認
③施設の入退所、処遇の監視、異議申立て等に関する事項
・福祉施設等の入退所、通所に関する契約、費用支払い
・福祉施設を決定するための情報収集ならびに本人の意思確認
・福祉施設等への定期的訪問による処遇に対する監視、監督行為
・福祉施設を利用する本人の意思、苦情等の聴取
④介護、生活維持に関する事項
・介護、保健、福祉サービスに関連して必要な申請、契約費用支払い
・本人を取り巻く支援関係者とのカンファレンスや状況確認、連絡調整
・本人の心身状態、生活状況、社会参加に対する希望ならびに意思確認
・身上監護業務遂行上不可欠な親族等との連絡
⑤教育、リハビリ等に関する事項
・教育、リハビリ、就労、余暇活動、文化的活動等の社会参加に関する契約、費用支払い
⑥その他契約の履行に関する追跡調査
医師から医療行為についての同意を求められることがありますが、成年後見人には同意をする権限はありません。
入院契約の締結などは成年後見人の主な職務の一つですが、医的侵襲行為(身体への外からの物理的侵襲を伴う行為)や一身専属的な行為に対する同意権は持っていません。したがって、手術や輸血の際の同意であるとか、人工呼吸器の装着の同意などの医療行為の同意については、成年後見人にはできません。インフルエンザ予防の注射など、比較的危険が少ないと考えられる医療行為についても、原則的には、同意する権限はないことになっています。
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