東京スカイツリー建設工事現場の自然との闘い

東京スカイツリー建設工事現場の自然との闘い

2012年3月31日

 いよいよ東京スカイツリーの開業する5月22日が迫ってきました。世界で最も高い電波塔で、高さは634mもあります。この場所が昔は武蔵(ムサシ)の国と呼ばれたことから634(ムサシ)mに決めたそうです。私は昨年9月末に、建設途中のスカイツリーを見物してきました。右の写真はその時に私が撮影したものです。下から見上げると、首が痛くなる程の角度でないと、塔の上の方は見ることができません。スカイツリーの足元は三角形で出来ています。足元から頂部へ視点を移すと、基本となる造形が三角形から円形へと変化していきます。見る角度や眺める場所によって、多彩な表情を持たせるように設計されています。

 東京スカイツリーは完成までに3年半を要しました。未知の高さでの建設工事は、不確定な自然との闘いでもあったはずです。建設工事が直面した自然への対応について紹介します。(説明文や写真等は、建設を担当した(株)大林組のホームページから引用しています。)

 地上ではほとんど無風の時でも、高さ600m付近では強風が吹いていることがよくあるそうです。スカイツリーの建設は鉄骨工事がメインです。鉄骨工事はタワークレーンを使い、鉄骨を積み上げていくことの繰り返しです。クレーン工事は、10分間の平均風速が秒速10mを超えると作業ができません。風は工事の進捗、作業効率に大きな影響を及ぼすのです。この為、気象庁の基本データをもとに解析を行い、工事場所のピンポイントでの上空の予報を一日2回、12時間ごとに見直し、日々の細かな作業調整を行って工事の効率化図ってきました。

 地震や雷、突風は突然発生する為、災害や事故を引き起こす要因となります。未知の高さのスカイツリーの工事では、それらの予測につながる情報をモニタリングしながら、必要時には警報を発して、安全に作業が出来るようにしてきました。地震に対しては、気象庁が発信する緊急地震速報を活用しています。緊急地震速報を受信すると、現場内に警報が発せられます。作業は即中断し、身の安全の確保、退避行動をとります。東日本大震災が発生した時には、タワー(塔体)上部は水平方向に1m40cmも揺れたそうですが、作業員に怪我はなく、タワー本体にも損傷はなかったとのこと。最上部のタワークレーンの場合、クレーンとタワー本体とをつなぐ部分には制震ダンパーが取り付けられている為、揺れは1/3から2/3程度に低減できたとのことです。警報が発せられても退避出来ないクレーンの操作員も、怪我がなくて済みました。

 雷や風に対しては、気象庁の予報データや現場の観測データをベースに警報システムを作っています。民間の気象観測情報も補足的に利用しています。現場内の警報は、雷については雷雲の近付き具合や上空の雷雲状況によって、風についてはスカイツリー頂部の平均風速の増加により、レベル1からレベル4(緊急)の4段階で行います。雷の場合は、タワー内の何処に避難したらよいかも重要です。退避が必要な場所と安全な場所を明確に指定して、退避行動をとらせています。尚、雷の観測は次のような独自の方法により行い、警報の信頼性を向上させています。①落雷検知装置での観測(落雷時に発生する電磁波を測定することにより、雷の接近状況を判定する。現場から100km以上離れた地点の雷まで検出可能) ②雷雲検知装置での観測(スカイツリー周辺の雲と地面との間の静電気を計測し、危険な雷雲かどうかを判別する) ③気象庁観測データの詳細分析(各種の気象庁の観測データを詳細に分析することにより、雷の接近状況とその場所での危険度を判定する材料とする)  建設中に数回落雷があり、警報によるタワー内への避難も実施され、作業員に被害はなかったとのことです。

 東京スカイツリーの建設工事では、そのあまりの高さゆえに、常に風、地震、雷、台風などの自然の力を相手にしながら工事を進めざるを得なかった訳です。この工事における安全対策は、作業員の安全を守るというだけでなく、工事の進捗管理、効率向上にも密接に結びついた重要なテーマであったことがわかります。警報を発する頻度が多ければ工事に遅れが生じ、発するべき警報を抑えれば事故が起きてしまうということもあり得た、ということです。建設工事にかかわった関係者の方々のご苦労をねぎらいたいと思います。

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