赤レンガの東京駅が創建時の姿に
赤レンガの東京駅舎が創建時の姿に
2012年1月21日
現在東京駅の赤レンガ駅舎は工事中です。平成19年4月に着工し、本年(平成24年)6月に工事完了予定です。工事の名称は「東京駅丸の内駅舎保存・復元」です。東京スカイツリーに比べて目立たない工事ですが、最先端の建築技術を導入して重要文化財である歴史的建造物の保存・復元に取り組んでおり、注目すべきプロジェクトです。(写真上は駅舎工事の完成イメージ図です。)以下、工事を施工しているJVの中の鹿島建設(株)のHPを引用して、概要を紹介します。
東京駅丸の内駅舎は1914年(大正3年)に創建され、その堂々たる姿で、多くの人々に愛されてきました。しかし、1945年(昭和20年)、戦災により南北のドームと屋根及び内装を焼失しました。戦後に3階建ての駅舎を2階建て駅舎にして復興し、現在の姿になっています。この度の保存・復元工事では、外観を創建時の姿に忠実に再現すること、鉄骨煉瓦造の駅舎の下に地下躯体を新設して機能を拡大すること、巨大地震にも耐えうる免震工法を取り入れることが目的となっています。(写真上左は従来(施工前)の南ドーム、写真上右は施工後の南ドームです。)
保存・復元工事については、駅舎の各所に残存している漆喰塗や銅板葺等を調査し、失われつつある漆喰や擬石塗等の左官、銅板葺等の板金などの特殊技能を復活させ、創建当時の仕様・工法を努めて採用しています。また、天然スレートの屋根材や外壁の化粧レンガ、建具のガラスなども、いったん取り外した後、再利用を図っています。建物全体は、従来からある1、2階の赤レンガの外壁の姿を保存し、戦災で失われた3階部分(切妻部等)、線路側外壁、屋根及び南北ドーム、ドーム内部の見上げ部分を、専門家による詳細なデザイン検証を経て、創建当時の姿に復元しています。(写真右はドームの見上げ部分)
表面に出ない地下部分の工事に関しては、地下躯体の新規構築及び免震化工事を主体とした、日本最大規模の免震レトロフィット工事が行われています。その工事の方法は、まず駅舎の下の地中に杭打ちを行います。仮受け支柱を打ち込んだ本設杭と、建物外周の山留め杭を施工します。駅舎建物のレンガ壁直下に、建物の荷重を直接受ける縦梁を入れ、縦梁から仮受け支柱まで伸びるつなぎ梁を構築し、仮受け支柱上のジャッキで荷重を仮受けします。駅舎の荷重を仮受けしている間に、地下部では、逆打工法で本設杭の上に地下躯体を構築し、駅舎と地下躯体との間に免震装置を設置します。仮受け支柱にて仮受けした駅舎は、地下躯体完成後に、免震装置に荷重を移行します。荷重移行後、仮受け支柱を撤去し、地下部の内装・設備工事がスタートします。以上の手順で工事が行われています。
間もなく、東京の玄関口である東京駅そのものに、新しい観光スポットが現れます。楽しみですね。