LEDの光は虫には見えない?
LEDの光は虫には見えない?
2011年2月17日
先日あるスーパーで、プライベートブランドのLEDランプ(白熱電球60w級)が1,680円で売られているのを見かけました。2年ほど前まではT社のLEDランプは10,000円もしていました。その後Sh社が4,000円で新たに発売し、T社とP社も追随する形で4,000円を切る価格のものを出してきました。それが今は1,000円台です。白熱電球は1個100円程度ですから、同程度の価格になるには暫らく時間がかかるかもしれませんが、それにしても急激な価格低下です。価格が下がり購入する人が増えていますので、量産効果によって更に価格が下がる好循環が起きてくるのではないでしょうか。
LEDランプに使われるLEDは発光ダイオード(Light Emitting Diode)と呼ばれる半導体です。従来の白熱電球や蛍光ランプとは全く異なる発光原理を持っています。照明用として必要な白色LEDが1996年に登場し、一般的な照明に利用できるようになりました。
LED照明は熱がほとんど発生せず、寿命も白熱電球の約30倍、蛍光灯の約3倍と長寿命、エネルギー消費も白熱電球の1/6程度と省エネです。大変に優れた照明といえますね。LEDは非常に適用範囲の広い技術で、現在いろいろな産業分野でLEDの活用が広がりつつありますが、その紹介は又別の機会にしたいと思います。
LED照明の特長を活かした用途を紹介します。まず、夜行性の蛾などの虫との関係です。紫外線で蛍光塗料を励起する蛍光灯とは異なり、LEDは電子の流れを活用して光らせる為、紫外線を(ほとんど)出しません。『飛んで火にいる夏の虫』という諺がありますが、昔は蝋燭や松明の光、今では蛍光灯の光などに吸い寄せられるように虫が集まってきます。人間が見ることのできる光の波長は360nm830nmの間ですが、虫の場合は一般的に300nm650nmの間を感知するそうです。特に400nm以下の波長に虫は集まりやすいようです。虫が見ることのできる光の領域は紫外線の領域、色に置き換えると紫色から青色の領域の光です。夜、蛍光灯の光に虫が集まってくるのは、蛍光等が紫外線を使って光を出しているからです。紫外線を出さないLED照明の光は、虫からはきっと見えていないのですね、虫を引き寄せないという大変優れた特長を持っています。玄関灯や庭園灯、イルミネーション等に採用すると、虫を防げますね。
奈良の法隆寺の金堂と大講堂にはLED照明を導入しています。今回初めて、夢殿の国宝『救世観音像』にもLED照明を採用し、美しく浮かび上がる像を拝観できるようになりました。LED照明は仏像の傷みに影響する熱や紫外線を出さないことで、採用に至ったのです。今後、全国各地の仏像が、明るい照明の下で拝観できるようになることを期待したいですね。
終わりに。東京スカイツリーが今、大ブームです。建設途中のスカイツリーに多くの観光客が押し寄せています。この外観を飾るLED照明はP社が受注したそうです。T社の営業担当の方が大変口惜しがっていました。照明灯の交換は大変な作業になるでしょうから、長寿命のLED照明はありがたい存在ですよね。東京スカイツリーの完成を待って、P社は大々的にPRするんでしょうね。美しいLED照明に彩られた素晴らしい夜景の出現を楽しみにしています。