準正
今月の民法サークル「準正」
2013年10月27日
静岡大学名誉教授の平野先生を囲んで月一回開いているサークル活動「民法サークル」において、平野先生からお話し頂いた内容を、毎回かいつまんで紹介しています。
【10月民法サークル】
10月の民法サークルのテーマは「準正」に関するものでした。今回紹介する例題は次の通りです。
『私たち男女は結婚についての同じ価値観から、籍も入れないし、同居もしないで、個人の自由な生活を最大限尊重しあうという形で、実質上の夫婦として15年間を問題なく暮らしてきました。その間、二人の娘が誕生し、彼は当然この子たちを認知してくれています。ところが思春期にさしかかった長女が、最近「どうせ私は私生子だから」と口走り、何かにつけて反抗的になりました。親の価値観を子に押し付けて、子供たちに辛い思いをさせた責任を感じて反省していますが、いまさら取り返しがつく問題ではないのでしょうか。』
先ず、父親が認知しているので、子供たちは“私生子”ではなく、“非嫡出子(婚外子)”ということになります。ただし、正式に父母の子共であることは間違いありません。
民法789条(準正)には「父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。2)婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。 3)前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。」とあります。 この例題の場合、夫婦が婚姻届を提出すれば、子供たちは嫡出子(法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子)の身分を得ることができます。いまからでも婚姻届を出せば、子供たちの辛い気持ち和らげることができるのではないでしょうか。
非嫡出子が嫡出子の身分を得ることを「準正」といいます。父母の婚姻により子が嫡出子の身分を得ることを「婚姻準正」といい、婚姻した夫婦の夫(父)が妻の子を認知することにより子が嫡出子の身分を得ることを「認知準正」といいます。また、死んだ子を婚姻中の父親が認知すると、その子は嫡出子の身分を得ます。
(所長)