認知の訴え
今月の民法サークル「認知の訴え」
2013年10月26日
静岡大学名誉教授の平野先生を囲んで月一回開いているサークル活動「民法サークル」において、平野先生からお話し頂いた内容を、毎回かいつまんで紹介しています。
【9月民法サークル】
9月の民法サークルのテーマは「認知の訴え」に関するものでした。今回紹介する例題は次の通りです。
『私はⅩ氏の愛人として子を身籠りました。Ⅹ氏は子の出産を首を長くして待っていましたので、生まれれば間違いなく認知してくれたはずですが、出産間近なある日、心臓発作で急死しました。Ⅹ氏の奥様や子供さんたちは、私の存在を無視し、お腹の子も誰の子か分かったものではないといい、Ⅹ氏が父親であることを否定しています。私は子供のためにⅩ氏が父親であることをはっきりさせたいのですが。』
認知の請求をする場合、家庭裁判所に訴えを起こします。民法第787条(認知の訴え)には「子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。」とあります。従って、この例題の場合、生まれてくる子供の法定代理人である母親は、子供が生まれたら認知の訴えを起こすことができます。父親であるⅩ氏が亡くなって3年経つと時効になりますので、その前に訴えを起こす必要があります。
尚、3年の時効は問題があるという意見が学者の間で増えているそうです。DNA鑑定などの技法が発達してきていますので、もっと時間が経過した時点でも、親子関係を証明する有力な証拠が提示できる可能性があるためです。
(所長)