離婚後の子供との面接及び養育費

今月の民法サークル「離婚後の子供との面接及び養育費」

2013年7月21日

 静岡大学名誉教授の平野先生を囲んで月一回開いているサークル活動「民法サークル」において、平野先生からお話し頂いた内容を、毎回かいつまんで紹介しています。

【6月民法サークル】

 6月の民法サークルのテーマは「離婚後の子供に対する面接」及び「子供に対する養育費」に関するものでした。 例題は次の通りです。

1.離婚後の子供に対する面接

 『私は子供を1人連れて離婚しましたが、先頃良い縁談に恵まれて再婚しました。幸い子供も新しい夫になつき、パパができて大喜びで、私も幸せを噛みしめています。ところが、前夫はそれを妬んで、何かにつけて子供に会わせろと要求してきます。「俺はその子の父親だ。養育費だって支払っているのだから面接できる権利がある」といって、会いたがらない子供を学校の帰り等に待ち伏せして、無理やり会おうとするので困っています。』

 親権者でない親が親権者の親に対して、子供に会わせるよう要求できる権利を「面接交渉権」といいます。最近では、一定の範囲で子供に会わせるべきだ、との考えが家庭裁判所では一般的になってきています。ただし、 離婚時には面接交渉権について何も決めていないが、後になって、親権者でない方の親が子供と面接したいと言ってきた場合は、新たに家庭裁判所で、面接に向けての調停をかけることが必要です。 従って、本例題の場合、前夫にも子供に面接する権利はありますが、家庭裁判所の調停によりルールを決めて、その範囲内で子供に面接することになります。

2.離婚後の子供に対する養育費

 『夫は離婚の際に、子供の養育費を月額5万円支払うと約束していたのに、数カ月送ってきただけで、今は全く素知らぬふりです。私もパートの収入だけでは生活が苦しいので何とか支払ってもらいたいのですが、どうしたらよいでしょうか。』

 家庭裁判所ではこの相談事例が一番多いとのことです。離婚した後の子供の養育費支払いの履行の確保が問題です。 裁判離婚の場合は、調停書が作られますので、強制執行力を持ちます。 協議離婚の場合、離婚協議書を公正証書にしておけば、強制執行力があります。 親権者でない方の親から子供の養育費が支払われない場合、家庭裁判所に申し立てることにより、その親の給与から養育費を天引きすることができます。 ただし、その親がきちんとした給与収入がない場合は、この方法は難しいということになりますが…。 この例題の場合、離婚は裁判離婚か協議離婚か、協議離婚の場合の離婚協議書は公正証書か、前夫はきちんとした給与収入を得ているか、といったことが養育費の支払いを確保するうえで重要になってきます。

 ところで、強制執行で給与から天引きすることは、労働基準法の第24条(賃金の支払)「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」の原則に抵触します。しかし家庭裁判所の方針は、給与からの天引きを認めています。調停書の中に明記するようになってきています。離婚した夫婦の子供を保護する観点から、天引きの必要性が高いという判断です。法律の改正…労働基準法の『例外の取り扱い』を設ける必要が出てきています。

(所長)

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