夫の失踪・夫からの逃避

今月の民法サークル「夫の失踪」「夫からの逃避」

2013年5月13日

 静岡大学名誉教授の平野先生を囲んで月一回開いているサークル活動「民法サークル」において、平野先生からお話し頂いた内容を、毎回かいつまんで紹介しています。

【3月民法サークル】

 3月の民法サークルのテーマは「夫の失踪」及び他1件でした。 例題は次の通りです。『私の夫は4年前に突然失踪しました。事業に行き詰まって悩んでいたことは事実ですが、愛人と一緒に失踪したと世間では噂されてきました。私は必死で働いて、二人の子供との生活を支えてきましたが、最近ある男性からプロポーズされ、心を動かされています。でも再婚を考えるにしても離婚が成立していないので返事ができないでいましたが、2年前のクリスマスに匿名のプレゼントが子供たちに届きました。多分、失踪している夫からのものだと思いますが、どこにいるか居場所が分かりませんし、いまさら私の所に帰ってくるとも思えません。真剣に再婚を考えたいのですが、離婚できるでしょうか。』

 民法第770条(裁判上の離婚)「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。一.配偶者に不貞な行為があったとき。二.配偶者から悪意で遺棄されたとき。三.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。四.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。五.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」

 第770条によれば、夫婦の一方がいなくなって3年経つと離婚できます。3年間生死が不明な場合とは、探しようがない、連絡が取れない、ということだけで足ります。離婚をしたいのであれば、3年経った時点で家庭裁判所に離婚の申し立てを行います。

 ただし、上記例題の場合、夫の失踪から2年経ったところで、匿名で子供たちにクリスマスプレゼントが贈られてきました。贈り主はおそらく夫だと思われることから、贈り主の名前は不明でも、考慮に入れる必要があります。この場合、失踪から2年で時効が中断します。そして新たに時効のカウントをが開始することになります。例題の場合、妻は現時点ではまだ離婚できないことになります。今から1年間夫から何の連絡もなければ、3年間の時効が成立し、離婚の条件が整うことになります。

【4月民法サークル】

 4月の民法サークルのテーマは「夫からの逃避」及び他1件でした。例題は次の通りです。『夫の余りの身勝手さに辟易して、子供を連れて家を出て5年になります。ここらですっきり離婚したいと思いますが、夫は「身勝手なのはお前の方だ。お前が家に帰りさえすれば事は治まる。離婚などする気はない。いつでも帰ってこい」といいます。私は帰る気などまったくありませんが、離婚を求めても認められるでしょうか。』

 第770条には、離婚の原因として、「婚姻を継続し難い事由」(破綻条項)が認められています。破綻条項には・犯罪行為・ギャンブル・借金・虐待暴力行為・異常な宗教活動・性的異常 などがあります。

 例題の場合、「子供を連れて家を出て5年」とありますが、「5年」という期間は破綻の時期的効果を有するとされ、破綻の理由になり得る 、判断材料になり得るとされています。従って、離婚を求めれば、認められる可能性が高いといえます。

 尚、もし妻が家を出た後も、夫から生活費・養育費をもらっている場合は、5年経っても破綻の理由にはなりません。

(所長)

無料相談実施中

ご相談は無料です

0544-29-6355

<受付時間>
9:00~17:00
※土日祝日は除く

  • お知らせ・お役立ち情報

  • 事務所紹介

  • (準備中)

  • ≪相続と遺言の規定≫
  • 【相続手続の基本事項】
  • 【遺言の無い相続手続】
  • 相続方法
  • 【遺言の有る相続手続】
  • 【権利確定の為の手続】
  • 【税務の手続】
  • ≪成年後見制度の概要≫
  • 【成年後見制度】
  • 【法定後見】

しみず行政書士事務所

住所

〒418-0022
静岡県富士宮市小泉30-28

営業時間

9:00~17:00

定休日

土日祝日