夫婦間の法定財産制

今月の民法サークル「夫婦間の法定財産制」

2013年1月26日

 静岡大学名誉教授の平野先生を囲んで月一回開いているサークル活動「民法サークル」において、平野先生からお話し頂いた内容を、毎回かいつまんで紹介しています。

 1月の民法サークルのテーマは「夫婦間における『法定財産制』について」でした。 例題は次の通りです。『僕たちは結婚当初より共稼ぎ夫婦でした。僕はアパートの賃料・光熱費・子供の教育費を負担するし、妻は家族の食費・医療費・僕を除く家族の衣料費を負担することで、あとはその都度話し合ってやってきました。最近、妻は僕の反対を押し切って子供を学習塾に入れ、その授業料を僕の銀行口座から引き落とす手続きをしました。僕はこの費用については責任を持ちたくありません。一方、僕は家族みんなの健康を考えて高価なマッサージ機を買い入れましたが、妻は僕が勝手に買ったものだから自分は費用を負担したくないといっています。お互いどこまで責任があるのでしょうか。』

  民法第760条【婚姻費用の分担】には、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻(結婚生活)から生ずる費用を分担する。」とあります。また第761条【日常の家事に関する債務の連帯責任】には、「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対して責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。」とあります。 民法の条文に当てはめてみますと、今の時代、子供を塾に通わせることは「日常の家事」に該当すると考えられます。一方、高価なマッサージ機を家族の健康のために購入することは、ちょっと「日常の家事」に関する行為とは言えそうにありません。従って、例題のケースでは、妻の言い分に分がありそうです。学習塾の授業料については、「夫婦連帯して責任を負う」こと、即ち、夫婦間で取り決めた費用負担のルールに従って、夫が学習塾の授業料を負担することが妥当でしょう。 ところで、 今後若い方達を中心に、結婚当初からずっと共働きを続けることが当たり前の時代になると、例題のような家庭運営が増えていくのでしょうか。

 尚、第762条【夫婦間における財産の帰属】には、「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産いう。)とする。夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。」とあります。 夫婦が共有すべき財産と、それぞれ単独で所有すべき財産を、夫婦間でしっかり取り決めておいた方が、結婚生活においてトラブルや言い争いを減らすことに役立ちそうです。

(所長)

無料相談実施中

ご相談は無料です

0544-29-6355

<受付時間>
9:00~17:00
※土日祝日は除く

  • お知らせ・お役立ち情報

  • 事務所紹介

  • (準備中)

  • ≪相続と遺言の規定≫
  • 【相続手続の基本事項】
  • 【遺言の無い相続手続】
  • 相続方法
  • 【遺言の有る相続手続】
  • 【権利確定の為の手続】
  • 【税務の手続】
  • ≪成年後見制度の概要≫
  • 【成年後見制度】
  • 【法定後見】

しみず行政書士事務所

住所

〒418-0022
静岡県富士宮市小泉30-28

営業時間

9:00~17:00

定休日

土日祝日