婚姻時の氏の選択

今月の民法サークル「婚姻時の氏の選択」

2012年9月30日

 静岡大学名誉教授の平野先生を囲んで月一回開いているサークル活動「民法サークル」において、平野先生からお話し頂いた内容を、今月から、かいつまんで紹介していきたいと思います。

 9月の民法サークルのテーマは「婚姻時の氏(姓)の選択」でした。 『歴史を誇る和菓子の老舗の一人息子で、稼業を受け継ぐことが決まっているA、茶道の某流派家元の一人娘で、次期家元になることがきめられているB、二人は結婚したいと思っています。ところが、両家の親族は、自分の方の氏(姓)を名乗らせてくれない限り結婚には反対だといって、二人の婚姻を許してくれません。』さて、氏(姓)とは一体どのようなものでしょうか。

 日本の民法では、「婚姻時には夫婦となるどちらか一方の姓を名乗る」ことになっています。婚姻をすると、親の戸籍から離れて新たな戸籍が編製され、選択した姓を婚姻前から名乗っていた方が戸籍の筆頭者となり、新たな戸籍が編製されます。同姓の二人が婚姻した場合も、戸籍筆頭者となっている方の姓を選択し名乗っていることになります。この戸籍法上の戸籍筆頭者調べでは、98%以上は夫の姓を名乗っています。尚、特別な事情があり、家庭裁判所の許可があった場合のみ、新しい姓を名乗ることができます。基本的に、新しい姓を作り出すことは禁止されています。

 配偶者が死亡した場合は、婚姻前の姓に復することができる、との規定があります。離婚した場合は、婚姻前の姓に復することになっています。ただし、3ヶ月以内に届け出ると、離婚前の姓を名乗ることができる、と規定されています。子供については、子供の籍を母親の戸籍に移せば、子供は母親の姓を名乗ることになります。その場合に、母親が婚姻前の姓を選択すれば、子供は母親の婚姻前の姓に変わることになります。離婚して子供を引き取った母親は、子供のことを考えて、離婚前の姓を選択し、姓を変えない場合が多いようです。

 夫婦別姓に関する各国の状況を見ますと、『夫婦同姓』は大変少数派で、「夫・妻の姓のどちらか選択」はオーストリア(結合姓も可能)と日本、「夫の姓のみ」はスイス(結合姓も可能)とタイ、となっています。その他の国は、「同姓・別姓・結合姓可能」または「別姓のみ」または「法律の規定なし・慣習による別姓可能」となっており、世界のほとんどの国が『夫婦別姓』を可能とする規定になっています。尚、日本の法制審議会は、「夫婦別姓を可能とする制度を導入する」と既に結論を出しているそうです。国会の動きが遅いために、先に進んでいないとのことです。

(所長)

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