特別受益と寄与分

今月の民法サークル「特別受益と寄与分」


静岡大学名誉教授の平野先生を囲んで月一回開いているサークル活動「民法サークル」において、平野先生からお話し頂いた内容を、毎回かいつまんで紹介しています。

【2月民法サークル】

2月の民法サークルのテーマは「特別受益と寄与分」に関するものでした。今回紹介する例題は次の通りです。(2015年2月27日 実施)

【例題】

『父が他界し、母と私たち兄弟姉妹4人が相続人となりました。遺産は8000万円あります。兄は母に4000万円を、残りを公平に1000万円ずつ分けようと言います。姉もそれに賛成していますが、私と弟は納得ができません。以前、兄は独立して事業を始めるにあたって、父から1200万円の援助を受けています。姉は結婚するにあたり花嫁道具を800万円分買ってもらいました。私は父が病気で寝込んでからは、老いた母に代わって父の療養看護に務めてきましたし、弟は同じく父に代わってその事業継続に尽くしてくれました。家を出ている兄と姉は非協力的でしたのに、残された遺産だけは平等に分けるというのには納得できません。』

 

【解説】

<特別受益>

特別受益は民法第903条に規定されています。親(被相続人)からその生前に、生計の資本として住宅資金、事業を始めるための開業資金、婚礼のための資金、大学で学ぶための学費(生活費は除く)などを相続人が受けている場合、または遺言によって遺贈を受けた場合に、これらは特別受益として扱われます。

<特別受益があった場合の相続分の計算>

被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその特別受益の価額を加えたものを相続財産とみなし、これを基準に各相続人の法定相続分による価額を計算します。特別受益を受けた相続人については、その法定相続分による価額からその特別受益の価額を控除した残額が具体的な相続分となります。

 

<寄与分>

寄与分は民法904条の二に規定されています。親(被相続人)の経営する事業の発展に貢献した、親の財産を増やすことに貢献した、親の介護を専門業者に任せず自分が介護をすることで財産の減少をくい止めた場合など、相続人が被相続人の財産の維持又は増加に特別の貢献をした分は寄与分として扱われます。

ただし、寄与分の訴えは裁判においてはなかなか認められません。何故なら、基準がはっきりしない、金額の算定が難しい為です。

<寄与分があった場合の相続分の計算>

被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めた寄与分を控除したものを相続財産とみなし、これを基準に各相続人の法定相続分による価額を計算します。寄与分を認められた相続人については、その法定相続分による価額にその寄与分の価額を加えたものが具体的な相続分となります。

 

<特別受益と寄与分があった場合の具体的相続分の計算例>

相続人:母、兄(特別受益1200万円)、姉(特別受益800万円)、私(寄与分500万円)、弟(寄与分1500万円)

みなし相続財産=相続財産+特別受益−寄与分

       =8000万円+1200万円+800万円−500万円−1500万円

       =8000万円

母の相続分:8000万円×1/2=4000万円

兄の相続分:8000万円×1/2×1/4−1200万円=−200万円

姉の相続分:8000万円×1/2×1/4−  800万円=   200万円

私の相続分:8000万円×1/2×1/4+  500万円= 1500万円

弟の相続分:8000万円×1/2×1/4+1500万円= 2500万円

(※ 兄は−200万円になりますが、実際の相続分は0円。兄を除く4名の相続分の合計は8200万円になりますので、8000万円に対して各人の相続分比率で按分したものが実際の相続分となります。)

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