相続における財産の分離

今月の民法サークル「相続における財産の分離」


静岡大学名誉教授の平野先生を囲んで月一回開いているサークル活動「民法サークル」において、平野先生からお話し頂いた内容を、毎回かいつまんで紹介しています。

【9月民法サークル】

9月の民法サークルのテーマは「相続における財産の分離」に関するものでした。今回紹介する例題は次の通りです。(2015年9月25日 実施)

【例題】

『Ⅹ氏は相当な資産家で信用も厚く、長い間の付き合いで私は一度も裏切られたことがありませんでした。そこでⅩ氏が隠居後も、急に現金の必要なときには担保も取らずに私は彼に融通してあげていました。ところでⅩ氏には道楽息子が1人いて、彼は仕事が嫌いで派手な遊びに明け暮れています。Ⅹ氏は若いうちに甘やかして育てたのが原因だと反省して、最近では一切息子に金銭的援助をしていませんでした。しかし息子は父の信用を笠にあちこちから借金をしていたようです。先日、Ⅹ氏は他界しました。私はⅩ氏の遺産から、貸金の返済を受けられると信じてきましたが、息子がこれを相続して彼の債権者がそこに押し寄せてきたら、私が当てにしていた返済も不可能になりかねません。』

【解説】

民法第941条【第一種財産分離をなすべき期間】

「①相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から三箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後でも、同様である。

 ②家庭裁判所が前項の請求によって財産の分離を命じたときは、その請求をした者は、五日以内に、他の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったこと及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない。但し、その期間は、二箇月を下ることができない。」

 

この例題の場合は、被相続人であるⅩ氏が充分な資力を有し、その被相続人に私(債権者)がお金を貸していたことになりますので、上記の民法第941条を適用して債権を回収することが可能です。

何もしなければ、Ⅹ氏の遺産は、借金を抱えているⅩ氏の息子(相続人)にそのまま相続されます。この場合に、債権者である私が家庭裁判所に対し、Ⅹ氏の遺産から私の債権を分離するよう申立てをすることにより、息子に相続される予定のⅩ氏の遺産から私の債権を分離し、回収することができます。

 

銀行などの金融機関が被相続人にお金を貸していた場合、上記の方法により貸金の回収を行うことが多いそうです。ただし、手続は複雑で大変とのことです。

 

(所長)

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