隣地との境界の確定
今月の民法サークル「隣地との境界の確定」
静岡大学名誉教授の平野先生を囲んで月一回開いているサークル活動「民法サークル」において、平野先生からお話し頂いた内容を、毎回かいつまんで紹介しています。
【2017年1月民法サークル】
1月の民法サークルのテーマは「隣との土地の境界はどうやって確定するか」に関するものでした。今回紹介する例題は次の通りです。
(2017年1月27日 実施)
【例題】
『私の土地と隣地との境界がはっきりしません。そこで境界を明確にしようと隣地の所有者に立会いを求めたのですが、なぜか拒否されました。どうしたらよいでしょうか。』
【解説】
隣地の所有者が境界確定に立会ってくれない場合、簡易裁判所に調停を申し入れるか、又は即地方裁判所に訴える方法があります。
隣同士の問題は、調停前置き主義は取っていませんが 、簡易裁判所に「調停」を申し入れることができます。調停は相手方を管轄する裁判所で行います。また、いきなり裁判を起こすこともできます。この場合は地方裁判所に訴えます。
境界確定の裁判では、裁判所は、「公図」は重要視せず、「あらゆる条件、資料等を考慮して」判断するとのことです。また、仮の境界を出すと、本訴の時に、裁判所は仮の境界をもとに判断することが多いとのこと。仮の境界を設定することについては注意が必要です。
尚、「公図」は、登記簿に登記された土地の地番や位置、形状などを表示するものです。明治初期の地租改正事業において土地に税金を掛ける目的で作られたものですが、地租改正当時の測量技術が未熟であったこと、時間と人員の制約から測量の専門家でない素人が測量にあたったこと、また税の軽減を図る為に故意に過小に測量したこと等から、その内容は必ずしも正確なものではなかったようです。このことが、現在の登記簿においても、登記簿と実際の地形や測量面積が一致しないことの原因となっています。
(所長)