一人暮らしの母親と長男の家族信託を支援しました

母親を委託者・受益者、長男を受託者とする家族信託の実施を支援しました。その一連の流れを纏めてみました。

 

平成29年9月のことですが、関東にお住いのS様から、F市で一人暮らしをしている母親T様の財産管理について相談したいと連絡を頂き、弊事務所にてお話を伺いました。

S様によれば、母親のT様は高齢となりご主人を亡くされた現在も、自宅に住み続けたいとの希望があり、今に至っているとのことです。ただし、T様は以前にオレオレ詐欺に引っかかりそうになったことがある為、S様としてはとても心配をしているとのことです。

S様は、高齢者の財産管理に関する制度についてよく勉強されており、成年後見制度の「補助」又は「保佐」類型の適用、あるいは家族信託によって、S様ご自身がT様の財産管理を行い、万一のトラブルを防ぎたいとお考えでした。

 

成年後見制度を活用した場合は、家庭裁判所の監督の下で財産管理を行うため、財産の管理・運用面で様々な制約があり、かつ家庭裁判所への報告義務があるなど面倒な点が多いこと、一方、T様が悪徳セールスに引っかかって高額で商品購入契約を結んだ場合など、S様が支援者(補助人又は保佐人)としての法的権限をもって契約の取り消しができるなどの特徴があります。

 

家族信託の場合は、T様を委託者及び受益者、S様を受託者として、T様名義の財産(不動産や預貯金など)をS様名義に変更した上で、信託契約の内容に沿ってS様がT様の為に財産を管理・運用します。委託者と受託者との契約によって信託の内容を定める為、大きな自由度を持っています。T様とS様の様に親子の間柄で、しっかりした信頼関係があれば、信託契約の中で財産の管理・運用に関してS様に報告義務を課す必要もありません。更には、将来T様が亡くなって信託契約が終了した場合に、残った信託財産を誰が承継するか(例えば「S様が承継する」等)も信託契約の中に織り込むことができます。信託契約は遺言の機能も持っています。

 

以上のような説明を基に話し合いをしたところ、S様は家族信託によってT様の財産を管理することを選択されました。

親子としての信頼関係があり、双方の距離が離れており、仕事で大変にお忙しいS様の状況を考えると、日常の財産管理において自由度が大きく、かつ負担の小さい家族信託を選択することがベターと考えられます。

その後、T様とS様に弊事務所にお出でいただき、信託契約の内容と文面を最終的に完成させました。

 

次に、私の方で公証人に信託契約の内容を説明して事前確認して頂き、その上で私と一緒にお二人に公証役場に出向いて頂き、主に財産管理に係る信託契約を公正証書で作成しました。

 

次の段階は不動産の信託登記です。私の方で信託契約に係る必要な書類を揃え、連携している司法書士さんの事務所にお二人と共に出向き、信託による名義変更登記手続を依頼しました。10日間程で、T様からS様に名義変更がされた登記事項証明書(登記簿謄本)が出来上がりました。

 

預貯金口座の名義変更もする必要があります。こちらの方は、S様に金融機関の窓口に出向いて頂き、名義変更手続きをして頂くようお願いしました。年金が振り込まれている預貯金口座については、事前に年金事務所に出向いて相談して頂くこともお願いしました。

 

以上のような流れで、家族の財産管理を目的とした家族信託を支援しました。

ご高齢の父親又は母親の一人住まいを心配されている子供さんは多いと思います。家族信託は、財産管理の面で、子供さんとして一人暮らしの親の支援ができる有力な制度であると思います。家族信託は難しいものではありません。この制度の活用を積極的に考えてみてはどうかと思います。

 

(所長)

 

 

▲このページのトップに戻る