障害者世帯の相続手続と相続以外の手続を同時に支援しました

2018年6月に民生委員の方から相談があり、障害を持つ方の相続手続きをさせて頂くことになりました。

相続手続きの依頼を頂いたA様は現在50代前半です。ソフトウェアのエンジニアだった10数年前に、出張した横浜で突然くも膜下出血で倒れ、処置が遅れたため、身体の半身に重い障害が残りました。リハビリに努め、現在はゆっくりであれば自分で助けなしに歩くことができます。とても人懐っこい方です。

1年半前に、生活の世話をしてくれていた母親B様が急に亡くなり、現在は姉のC様と二人で暮らしています。C様は人と変わったところがあり、他の人と会うこと話すことを極端に嫌がるとのこと。

ご依頼の内容は、母親B様が二人を気遣いながら遺してくれた住居不動産と生活資金としての預貯金を、母親名義から姉弟二人の名義に変える相続手続きでした。A様は母親が亡くなって以来、このことがずっと気になっており、民生委員の方に相談をしたとのことです。

 

(1)相続の手続き

相続の手続き自体は、相続人特定の為の戸籍取得など特に難しい点はありませんでしたが、姉弟ともに実印の所在が分からないとのこと。一生懸命探して頂きましたがダメでした。このままでは遺産分割協議書への押印ができません。弊事務所で二人の実印用の印鑑を購入し、市役所窓口に出向き、代理で印鑑(再)登録手続きを行いました。市役所から二人に照会書が郵送されてきましたので、弊所で再度市役所に出向き、実印の登録、印鑑カードおよび印鑑証明書の取得を行いました。

相続の手続き書類が全て揃ったところで、不動産の名義変更登記を弊所から司法書士さんに依頼し、次に預貯金の解約と二人の口座への振込み手続を弊所が(遺産整理受任者となって)代理して行いました。これで相続手続き自体は完了しました。

 

(2)相続以外の手続き

母親B様の預貯金通帳の記帳を念のため行い、内容を確認したところ、いくつかの気になる点に気づきました。気づいた点を依頼者のA様に説明したところ、A様の身体が不自由でご自身で対処できないことから、A様の代理人として弊所で以下の様に全て対処することにしました。

①NHK放送受信料免除申請手続き

母親B様のS銀行の口座は、どういうわけか、B様が亡くなられたにも関わらず口座が凍結されず、NHKの放送受信料の引去りがずっと継続されていました。受信料の契約者は20年程前に亡くなった父親D様となっていました。

A様C様の姉弟世帯は、障害等の理由により住民税非課税世帯となっており、きちんと手続きをすれば本来は放送受信料免除となる世帯です。

市役所の窓口に出向き、市民税非課税証明書の発行手続きを行い、証明書がA様宅に郵送されてきました。次に、放送受信料全額免除申請書を市民税非課税証明書と共にNHKに送付し、その結果、放送受信料免除受理通知書が郵送されてきました。これで受信料免除が確定しました。

②県民共済(生命保険)の引去り口座変更

母親B様のS銀行の口座が凍結されていない為に、上記①と同様に、県民共済(生命保険)の掛け金の引去りが毎月行われていました。これについては継続することにし、A様の保有する口座から掛け金の引去りをするよう変更手続きを行いました。

③県民共済(火災保険)の契約内容見直し

依頼者A様の口座から引去りが行われている県民共済(火災保険)の保険契約の内容を確認したところ、床面積47坪の設定になっていました。実際の床面積は23坪でしたので、契約内容の変更手続きを行い、掛け金の減額を行いました。

④JAバンクの生命保険解約手続き

A様から、県民共済の生命保険とE社の生命保険に加入しているので、JAの生命保険は解約したいと相談がありました。毎月の掛け金が他のものより高額の設定になっていることも、解約したい理由となっていました。

この生命保険は60歳満期となっています。今後満期までの7.5年間掛け金の払込みを継続した場合の満期返戻金と掛け金の差額を算出しました。次に、現時点で解約した場合の途中解約返戻金の額をJAに問い合わせました。その結果、現時点で解約した方が、かなりの額の解約によるメリットがあることが分かりました。

弊所担当者がA様と一緒にJAに出向き、解約手続きを行いました。解約返戻金はA様の口座に振込みました。

 

今回、A様の依頼により相続手続きを行いました。その際に、相続手続きとは関係のない各種契約等に内容の不備または見直しすべき点があり、一緒に対処しました。A様の身体が不自由であること、身の回りや生活に必要な各種契約の内容等について細かく確認をしたり支援をしてくれる方が身近にいないことなどから、見直しすべきことがそのままになっていました。A様、B様のお役に立てて本当に良かったと思います。

障害のある方や高齢者だけの世帯の場合、身近に支援者がいないと、保険や医療など各種契約事項になかなか目が届かない、不備に気がついても直せないといったことがよくあると思います。弊事務所でお手伝いできることがあれば、積極的に対処していきたいと思います。

 

(所長)

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