夫婦間の自宅生前贈与のお手伝いをしました
令和元年(2019年)7月に、以前からお付き合いのある建設業者Aさんからご依頼があり、ご主人Aさん名義の自宅(土地・建物)を奥様に生前贈与する手続きを行いました。
結婚して20年以上の夫婦の場合、一方が所有する自宅(土地・建物)を他方に生前贈与する際、評価額2,110万円までは贈与税が非課税となります。Aさんは、この特例を利用して、奥様に自宅を生前贈与することにしたのです。
私は、先ず自宅に関する夫婦間の贈与契約書を作成してご夫婦に署名押印をして頂き、次に、所有権移転登記も私が窓口となって司法書士さんに依頼し、移転登記を終了しました。そして、奥様名義になった自宅の登記事項証明書および登記識別情報通知書(以前の権利証に代わるもの)を引き渡しました。これで私の仕事は完了です。
但し、Aさんの奥様にとっては、これで完了ではありません。大事なことが残っています。翌年令和2年の2月1日〜3月15日までの間に贈与税の申告をしなければなりません。この申告手続きを忘れると、贈与税非課税の特例が適用されないのです。
尚、贈与の場合、所有権移転登記に関する登録免許税は、土地・建物の固定資産評価額に対する2%です。相続の場合は0.4%ですので、5倍の登録免許税となります。また、贈与の場合、翌年に不動産取得税が課税されます。ちなみに、相続の場合は課税されません。
今回の相続法改正により、この結婚して20年以上の夫婦の一方配偶者が、他方配偶者に対し、自宅不動産を生前贈与又は遺言により遺贈した場合について、一方配偶者に持ち戻し免除の意思表示があったものと推定し、遺産分割においては、原則として自宅不動産の持ち戻し計算を不要とする、とされました。
即ち、自宅を贈与又は遺贈した一方配偶者が亡くなった場合に、その相続手続において、その遺産の中に当該自宅不動産の価額は算入しなくてよい、算入せずに遺産分割の計算をしてよいことが明確化されました。
(所長)
