貨物運送事業の許可取得から1年以内に運輸開始が必要ですが…
お客様は、山梨県甲府市の近くに本拠を置く精密機械設置工事を主体とする会社です。お客様の依頼があり、2017年(平成29年)の6月頃から一般貨物自動車運送事業許可の申請に取り掛かりました。許可は、ほぼ予定通りに、2018年1月に取得ができました。
貨物自動車運送事業の許可を取得した場合、その後に、運転手5人以上の確保、必要となる社会保険・労働保険への加入、事業用ナンバー(緑ナンバー)への変更手続きなどを行った上で、許可取得後1年以内に運輸事業を開始し、運輸開始届出書を提出しなければなりません。お客様の場合、2019年(平成31年)1月までに運輸開始を行わなければなりません。ところが、予定していた運転手2名が事情により入社できない事態となり、その後運転手の募集を行うも集まらなかった為、結果として5名以上の運転手の確保ができず、1年以内の運輸開始はできませんでした。このままでは運送事業許可そのものが失効してしまうところでした。
そこで、山梨運輸支局のご協力を頂き、期限ぎりぎりの2019年1月に「運輸開始までの期間伸長承認願」を関東運輸局に提出し、運輸開始を2019年8月まで7ヶ月間延期する承認を頂きました。これで何とか期間中に運転手も確保できるかと思われました。
ところが、お客様の(精密機械設置工事の)仕事は大変忙しく、何とか従業員を採用したい状況でしたが、この延期期間中にも従業員(運転手)は確保できませんでした。再度「運輸開始までの期間伸長承認願」を提出し、2020年1月まで延期する承認を頂きました。ただし、それ以降は認めないという条件付きでした。
お客様と相談のうえ、正規従業員としての運転手の採用が難しいのであれば、パートタイムの形で運転手を確保する方向で検討して頂くことにしました。お客様が日頃から付き合いのある個人事業主の方に声をかけ、承諾を頂くことができましたので、運転手として登録することにしました。
2019年12月下旬に「運輸開始前の確認書」の提出ができ、2020年1月上旬に事業用ナンバー(緑ナンバー)への変更も終わりましたので、期限前の1月20日に「運輸開始届出書」を提出しました。許可取得から2年かかりましたが、運輸開始までたどり着くことができました。
この2年の間に、お客様は新車の大型トラック3台を導入し、入れ替えがありましたので、途中2回、「運輸開始前の事業計画変更届」の提出も行いました。これらの手続きも経て、運輸開始に至ることができました。責任を果たせて本当に良かったと思います。
私が、お客様の状況をよくお聞きした上で、当初からパートタイムの形で運転手を確保するようお客様に提案をしていれば、運輸開始まで2年もかかることはなかったのでは…。ここは大いに反省すべき点です。
(所長)