相続における不動産登記(相続登記)が義務化されます
所有者不明土地が九州本島よりも大きな面積に広がっていることから、その対策として、相続における相続人等への土地・建物の所有権移転登記すなわち相続登記を義務化する等の法案が提出されました。法案が成立すると、2023年度から順次施行されます。そのポイントについてお知らせします。
1.土地・建物の相続登記の義務化
現在は不動産(土地建物)の相続登記は任意で、申請期限もありません。
改正案では、相続人の誰がどの不動産をどのくらい相続するかを決め、相続開始から3年以内に登記をすることが義務付けられます。
期限内に登記せず、督促にも応じない場合は10万円以下の過料(行政上の罰則)が科せられます。
尚、期限までに相続人の誰がどの不動産をどのくらい相続するか決まらない場合に、相続人の氏名、住所などを法務局に申し出る仕組みが併せて新設されます(相続人申告登記制度)。これにより法務局が相続人の氏名、住所などを登記すれば、罰則の対象になりません。
2.不動産所有者が住所などを変えた場合の登記の義務化
不動産の所有者が住所を変えた場合、又は不動産所有者の氏名が変わった場合(例えば婚姻や養子縁組などで姓が変わるなど)には、2年以内に登記をすることが義務付けられます。
期限内に登記せず、督促にも応じない場合は5万円以内の過料が科せられます。
3.土地所有権の国庫帰属制度
相続人が不要と判断した土地を国が引き取る制度が新設されます。
相続人は10年分の管理費を支払って、国に土地を引き取ってもらいます。
ただし、引き取ってもらう際には国の審査があり、次のような条件をクリアする必要があります。
・土地が更地であること(建物があれば相続人の負担で解体し更地にする必要があります。)
・抵当権が設定されていないこと
・土地の境界争いがないこと
・土壌汚染がないこと
以上(所長)